永遠の愛を誓って夫婦となった筈の妻に、浮気という最悪の事実を突きつけられた時。別れを選ぶ男性も勿論相応の覚悟を持って事の終息に臨みますが、それ以上の覚悟と努力を求められてしまうのが、『もう一度やり直す』という再構築の道を選んだ場合です。妻が過ちを犯した事実に傷つき、それでも再構築を目指すという男性が背負う覚悟と努力とは、一体どのようなものなのでしょう。
目次
再構築は元通りの夫婦の姿ではなく新しい夫婦の形
再構築、と聞いて、以前と同じ夫婦関係を望む人は多いでしょう。しかし、時間を戻し、記憶を消せない限り、全く同じ夫婦関係に戻れることはありません。妻が浮気をした、という事実は心に暗い根を張り、度々あなたを悩ませます。それでも夫婦という関係を維持することにチャレンジし続ける、それが再構築なのです。
再構築を選ぶ前に自分に問うべき事
再び夫婦として寄り添う選択をしても、自分の心の声を無視してしまっていては、再構築の道が閉ざされてしまう事もあります。再構築を選ぶその前に、以下の点について自分自身に問いかけてみましょう。
妻の浮気を受け止められるか
浮気をした、という事実は決して消えません。そして、それは深くあなたを傷つけています。それでも好きだから、やり直したいから、そう思って再構築を選ぶ姿は尊いのですが、それと同時に危うさを秘めているのです。「妻とやり直したい」ではなく、「浮気をした妻だけどやり直したい」、そう思えるようになって初めて、再構築の入り口に立つ事が出来ます。
自分の生活を変えるつもりがあるか
再構築とは、一人だけが頑張って行うものではありません。夫婦二人で、更には家族みんなで一緒に新しく作り上げていくものでもあります。ですから、「浮気が起こった状態の家族の生活」を見直し、「浮気が起こらない状態の生活」へ作り変える必要が出てきます。その中には、妻の行動を改めて貰うのは勿論ですが、浮気された夫の生活パターンの改善も含まれるのです。
妻の意見や話を聞くことが出来るか
浮気の事実を乗り越えて再構築をするのであれば、妻からのあなたへの意見、苦情もきちんと聴く耳を持たなければなりません。浮気をした方が悪いのだから、全ての意見を却下するという考えは、再構築の道を阻むだけでなく、夫婦の中を決定的に割くきっかけにもなりかねません。お互いを尊重しあう心を持つことが大切なのです。
浮気した妻への怒りと悲しみは簡単には癒せない
心の傷は自分自身でさえその深さや大きさを見ることは出来ません。場合によっては、一生、何かの折に触れ思い出しては苦しむかも知れません。男女問わず、信じていた人に騙された、裏切られたショックは計り知れないものでしょう。早く現状を回復したい、そう思って相当無理をして再構築を頑張ったり急いでも、心の傷が癒えてない間は大きく揺れ動き続け、一番望まない結果を生み出してしまいます。
『浮気をした妻を許さなければ再構築は出来ない』と思い込む必要はありません。一生許せなければそれでもいいのです。再構築にチャレンジし続け、ある日ふと「浮気された時はホントに哀しかったなあ」と思い、「今でも思い出すと哀しくなるからやらないでね」と相手に昔話のように伝えられたその時が、浮気をされた傷が癒えてきた証拠なのかも知れません。
小さな目標とルールの積み重ねが再構築を成功させる
実際に再構築を行なっている男性は、どのような点に気をつけて努力を続けているのでしょうか。ただ闇雲に頑張るだけではない、小さな、しかし確かな一歩を歩んでいる人達の方法から、もしかしたら再構築された新しい夫婦の形が見えてくるかも知れません。
不安定な心を落ち着かせながら出来ることを少しずつ重ねていく
また浮気するかも知れない、また騙されるかも知れない…一度浮気をされたら、その思い込みから中々気持ちを脱出させることは出来ません。それでも再構築を望んだからには、どうしても成功したい。そう思われる男性も多いと思います。疑いを持つ気持ちを落ち着かせ、前を向いて進んでいく為の方法を見てみましょう。
夫婦のルールを一緒に作る
お互いのスケジュールを伝え合う、どちらかが先に帰宅したらメールを入れておく、など、日常生活の中で、お互いの存在がしっかり認識出来るようなルールを決めていきます。重要なのは、「お互いが守る為のルール」であることです。どちらか一方だけが義務として行わなければいけないルールでは、主従関係しか生まれず気持ちの良い心のキャチボールは得られません。そのやり取りの中で、「ありがとう」「お疲れ様」といった感謝や労いの言葉を伝え合いましょう。
浮気の話を持ち出さない
再構築は、夫婦二人で未来へ向かって行うものです。その努力の最中に、浮気の時の話をされて、やる気を持ち続けられるパートナーはいません。時には感情が爆発して、イライラした気持ちをぶつけたくなるかも知れませんが、せっかく積み重ねてきた新しい夫婦の形を、一気に崩してなかったことにしてしまう可能性もありますので気をつけましょう。
細かい目標を立て達成する
「次の子供の運動会には一緒に参加しよう」、「次の休みの日に二人で買い物に行こう」、といった予定を、比較的近い日にちを目安に目標としてあげ、それを実行出来るようにします。それは日常生活であって目標ではないのでは、と思われるかも知れませんが、その日常生活が崩れた状態なのが再構築の夫婦の姿なのです。一見当たり前に見える家族の姿は、実はお互いの協力の元にやっと成り立っていたのだという事を認識し、一つ一つを丁寧にクリアしていく事を心掛けましょう。そこから、相手に対する感謝や自分自身が努力すべき点を再確認出来ることもあります。
夫婦以外の第三者を交えてオープンに話し合う
浮気をした妻にとっては少し難しいハードルかも知れませんが、再構築をするに当たり、特にお子さんをお持ちのご夫婦には、協力して貰える環境は不可欠です。また、二人だけで話し合いをして決めたとしても、なかなかルールを守れなかったり不安に陥ったりを繰り返していては、再び危機を迎える事も少なくありません。
ここでいう第三者とは、実際に顔を合わせて話し合いの出来る人の事を言います。夫婦共通の友人だったり、可能であればお互いの両親だったりが理想的です。ご両親にお願いする場合は、必ず両家にお願いするようにしましょう。LINEやネット上の掲示板で、相手に見えない所で相談をするのは、逆にあなたの不安を煽ったり、それに気づいた妻があなたに嫌悪感を持つきっかけにも繋がります。
不安も不満も疑問も全てオープンにして、時にはアドバイスも貰える存在としての第三者を交えた話し合いのスタイルを持ち、そこから少しづつ夫婦の会話の在り方を作り上げていくことも、大切な再構築と言えるでしょう。
心理的カウンセラーに夫婦で通う
夫婦の再構築を目的としたカウンセリングを行う精神科もあります。浮気に走るその心理的要因を探ったり、浮気をされた心の痛みを癒すなど、夫婦で精神的にも協力しあえるような状態を作る為に、プロのカウンセラーの力を借りるのも良い方法です。心の面での歩み寄りを試みながら、再構築を目指しましょう。
出来ない事を嘆くより出来た事に感謝する
再構築の初期には、どうしても浮気した妻を許せない気持ちがあり、それが相手への不満となって、あれも出来てない、これもやってない、という批判の形で噴出しがちになります。しかし、再構築は一人だけが頑張っても出来ません。そして、その歩むスピードはそれぞれに違うのです。
出来てない事よりも、出来ている事に多く目を向け、それに対しての感謝や労いの言葉を伝える意識をしてみましょう。そして、その行動が出来ている自分に自信を持ち、積み重ねてていって下さい。それが、再構築後の新しい夫婦の形へ続く道となるでしょう。
誓約書は夫婦の再構築の支えと守りになる
浮気後に再構築を目指す決意はしても、また過ちを繰り返すかも知れないという不安と常に戦い続けるのは、心理的に大変負担の大きいものです。そんな心の支えになるのが誓約書です。では、誓約書とは具体的にどのようなものなのでしょうか。再構築にチャレンジするその前に、誓約書の役割とその内容について学んでみましょう。
誓約書の役割とその効果
誓約書は、「浮気したパートナーに対する戒めと、万が一の時の自分への保険を形として残したもの」です。ただ話し合うだけではなく、きちんと文書化し、お互いに判を押すことで、浮気した者に事の重大さを認識させ、浮気再発の戒めになる効果が期待されます。また、もし浮気が再発した場合の約束事も文書化することで、浮気をされた者も落ち着いて再構築に取り組む事が出来るのです。戒めの効果と再構築への保険の役割を持つ文書、それが誓約書になります。
参考: 不倫後に誓約書を作る効果はどのくらい?|作成方法と注意点まとめ
誓約書の雛形はない
書類として残すとなると、どうしても定型に沿って作らなければならないと思うかも知れませんが、夫婦の形がそれぞれであるように、誓約書の内容もまたそれぞれです。では、どのような点に注意するべきなのでしょうか。誓約書のポイントについて見てみましょう。
浮気をしたパートナーに悪いと認めさせる
浮気は悪いことである、その悪いことをしてしまった、だから謝罪をする、この点をきちんと明記して正式な謝罪をして貰うことが重要です。
二度と浮気をしないことを誓わせる
浮気をしたパートナーに二度としないと誓わせる、浮気した相手に二度と会わない、連絡を取らないといった内容の文章を残し、パートナーへの戒めとなるようにしましょう。
離婚の可能性も視野に入れておく
浮気が再発した時、または、二度とやらないと誓約した内容を破った時には、離婚を申し入れられても拒否しないこと、その場合の慰謝料なども具体的に明記し、それに同意するよう求めます。これは、浮気をしたパートナーの為ではなく、浮気をされた側の保険的な内容となります。
子供についての記載をする
お子さんがいらっしゃるご家庭の場合は、一番気にかける内容でしょう。特に浮気した妻であっても母親であるという点で、気がかりになる部分でもあります。万が一浮気が再発した場合の親権はどうするか、その場合の養育費、面会の有無等、できる限り細かく内容をしたためましょう。
その他、浮気をしたパートナーへの要望
以前から気になり、改善して欲しいと思っていた部分について記載しましょう。余りに利己的な内容の場合は話し合いになる可能性もありますが(例えば、夫である自分より早く寝るな、ごはんは全て手作りにしろ等)、夜間の外出は控える、子供を放置して遊びにいかない、一人で出かける時には場所、時間、会う相手をはっきり伝えるなど、再構築をする上で必要な項目を明確にして残すことが重要です。
公正証書として残すことが安心感をさらに深める
どこまで誓約書を書いても、それにお互いが判を押しても、個人的に作成した文書では安心できないと思われる方もいらっしゃるかと思います。その場合は、専門家に相談してみるのも良い方法です。弁護士や行政書士など、法律的な立場からアドバイスを貰い、それを公正証書として残すことで、あなたの安心感が得られるのは勿論、浮気をした妻の大きなストッパーにもなります。
大袈裟な、と思われるかも知れませんが、法的な部分でもはっきりさせる、という点からみると、これほど浮気をした妻に本気の怒りを示し、どれだけ本気で夫婦の再構築を願っているかを表す方法もないでしょう。
夫婦を続ける理由を見失わない事が再構築への鍵となる
浮気をされても好きだから、子供がまだ独立してないから、社会的に体裁が悪いから…再構築を選ぶ時、様々な理由が頭に浮かんでくるでしょう。そして、浮かんできたどの理由にもあなたの本音が含まれています。どんな些細な理由であれ、それが思い浮かぶ限り再構築を頑張ることは可能です。自分に出来る限りの努力を行なってみましょう。時には離婚をする事よりも辛い選択になるかも知れませんが、新しい夫婦の形を目指し、焦らず、ゆっくり、一歩づつ進んでいきましょう。